ニュージーランド一般居住用物件の耐震基準について
毎年、日本からニュージーランドへ多くの修学旅行生がきます。
しかし、生徒そして、その両親がニュージーランドの地震について心配なため
ある旅行会社のかたより、連絡があり、
「ニュージーランドの耐震基準について教えて欲しい」
ということで今回、報告書を作成させていただきました。
これは、自分の今までのニュージーランドにおいての約6年間の建築経験から
ビルダーの立場からのご報告とさせていただきます。
>マグネチュード6.5の地震が一般住宅を襲ったらどうなるか?
1、木造、コンクリ構造の家屋
1階、2階建てで、骨組みが木造、コンクリ構造であれば家がすべて崩壊して中にいる人
すべてに重症または死者がでるという最悪の事態は非常に考えづらいです。
2、レンガを骨組みとして使っている家屋
危険なのは2階建て以上で骨組みがレンガ(BRICK)を使っている建物です。
この建物はいまでの、ニュージーランドには存在していてこれは、非常に危険です。
クライストチャーチと同じことが起きる可能性が非常に高いです。
ただし、骨組みがレンガになりますので、今、現在骨組みは木造、そして、
外壁がレンガという家屋は多いですので、そういう家屋は1の木造家屋になります
ので確認が必要です。
政府でも把握しているように、レンガが骨組みとして使われている家屋は今現在
かなり少ないため、探すほうが大変だと思います。
日本でも周知のことと思いますが、2X4 (ニュージーランドの建築工法)は
構造上パネルを組み立てるような工法を用いるために、地震に対して在来工法(日本の施工法)
は強いといわれています。
>耐震基準についてと安全性
今回のこのレポート作成について
ニュージーランドの建築についての政府の窓口として
Department of Building and Housingに問い合わせましたが、
あまり的を得ていない答えが返ってきました。
そこで、実際の建築現場から得た自分の見解になりますが、
今現在、一般住宅に対しての明確な耐震基準は無いといっても過言ではありません。
実際にニュージーランドの建築経験上、
完成図面上、また、その前段階の役所申請書類においても、
地震の影響を考えての耐震計算等は一般住宅では見たことがありません。
しかし、下記の建築基準は年々厳しくなっています。
強風対策
地面の強度(湿地帯への建設など)、
基礎強度(とくに傾斜地など)
塩害防止
等の措置はとられいます。
上記のような対策で家の強度をあげ、これらは耐震基準向上にもつながっています。
この背景には、一般的にニュージーランド自体が建築基準を厳しく設定するようになってから
大きな地震を経験していないために、耐震基準という名目ではあまり厳しくされていないのだと思います。
結果として耐震基準としての明確な基準は曖昧ですが、家自体の強度は強く、
仮にオークランドでマグネチュード6.5の地震が起きても家屋全面崩壊は考えずらいです。
>地震による家屋崩壊は、家屋構造の問題かそれとも土地の変形によるものか?
まず、土地の変形についてですが、
これは、クライストチャーチが典型的な例ですが、クライストチャーチ自体がもともと
沼地を開拓して作られた都市で、土地自体に耐震性があるとはいえない場所です。
そのために、いくら頑丈な基礎を作ってもその下の土地が変形を起こしては、家屋が通常の
状態では存在できません。しかし、ここで注意していただきたいのは、土地が動いても、
家本体はおもちゃの箱のように地震の波に対してゆれているために、そのまま家が全崩壊するという
現象はおきづらいです。現に自分もクライストチャーチへいって現状を確認してきましたが、
ほとんどの木造建築は大きなダメージを受けていません。
では、土地ではなく家屋の崩壊はどのような建物に起こているのか?
先にも述べたように、
レンガ(BRICK)が基礎、構造に作られている建物です。
化粧のために、木造構造の外側にあるレンガ作りの建物もありますので、それは、問題ないです。
クライストチャーチで崩壊していた建物は建築基準という言葉あったのかわかりませんが、
築100年などの歴史的建築物といえる建物です。
そこには、耐震性の鉄筋 (REINFORCING STELL)が無い場合が多いです。
そのために、積み木で作った家のようになるために、今回のような地震があると崩壊します。
>政府が危険な場所にあるクライストチャーチの家を買い取る。
2011年6月 ジョン キー 首相が発表。
クライストチャーチには約100,000軒の家がありますが、そのうち土地が軟弱で次回地震が
起きたときに危険なエリアとして、、総計約5000件の家を政府が買い取るということを発表。
以上。
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ニュージーランド 日本人 建築会社 ジャパンホームズ 代表 岡部 雅彦
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